オイルフィニッシュのメンテナンス入門

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皆さんこんにちは。


ギターの塗装というと「薄いほうが良い」みたいに言われて久しいですが、ただ「厚い」とか「薄い」といった相対的な表現の字面(じづら)だけ見ていると、実感というか肌感覚みたいなものが無いですので、一旦整理しましょう。
いわゆるラッカーフィニッシュやウレタンフィニッシュという塗装について「厚い」と言われるのは1.00mm以上の塗膜厚があるものと言われます。
それでは1.00mmがどれくらいかと言うと、、、

フレットの幅、だいたい2mm。
ワックスのパッケージのライン、1mm弱。

飛鳥工場でもやはり塗膜が薄く仕上がる様に塗装を行います。大体仕上がりで0.5mmを下回る程度だと聞いています。

実際に塗装工程を担当する職人は、この0.1mm単位の世界で塗膜の研磨や吹付けを行っています。もちろんオーバーサンド(磨き過ぎ)すると生産工程から落ちますので、磨き過ぎは厳禁、仕上がりの塗膜が厚すぎてもNGです。

一方今日取り上げるオイルフィニッシュは塗膜がほぼ無く、木部に浸透する形で楽器を保護する塗装法。
楽器の塗装が薄いほど良いというならば、オイルフィニッシュがダントツで一番ということになりそうです。
今日はそんなオイルフィニッシュのメンテナンス方法をご紹介します。

さて、本日のベースです。

今日のベース


Bacchus Global series WL-534 ASH/R BR/OIL
スケールが選べるBacchusミドルクラスの大定番モデル。34インチといえばいわゆるJBスタイルの伝統的なロングスケール。この他に少し短い33インチ、少し長い35インチがあり、弾きやすさやテンション感、サウンドなどから好きな一本を選べます!

オイルワックスの効果

オイルフィニッシュは木に対して色を塗る工程(木地着色)とオイルを塗る工程、そしてそれぞれの工程に対しての乾燥、があります。
そしてオイルが硬化した段階で塗装完了ということになりますが、この塗膜が無いに等しい、非常に薄いものであるため、摩擦に弱いという特性があります。

このオイル層(0.0何ミリ)が摩擦で剥がれてしまうと、その後は着色層に及び、これが楽器の色落ちにつながります。
オイルフィニッシュと色落ちはある程度切っても切り離せない問題ですが、これをオイルワックスでケアしながら徐々に色落ちさせていくことで、味のある「自分だけの・自分ならではの楽器」に育てやすくなります。

オイルワックスはこのオイル層の上にワックスの膜を作ってオイル層を保護するイメージです。オイルワックスを定期的に塗ることで、オイル層の摩耗が遅れ、結果として美しい外観をキープするという形です。

高校で野球部に入りたての時ピカピカだったグローブが、卒業する頃には傷だらけで汗も涙も染みこんだかけがえのないグローブに変化するのと同じです。
唯一無二の楽器に育てるため、大事にメンテをしていきましょう!

準備するもの

ギター職人のオイルワックス、塗布用のクロス(または木綿100%の端切れ、ウエスなど)、仕上げ用クロス、ビニール袋、水

手順その1


楽器全体を仕上げ用クロスで拭きあげ、チリ・ホコリを一通り払い落とします。細かなホコリが付着した状態でオイルワックスを使用すると思わぬキズ付きの原因になることがあります。

手順その2

 
オイルワックスが少し固まっていることがあるので、使用前によく振ります。
塗布用クロスにオイルワックスを付け、クロスから本体に伸ばすように広げていきます。


手順その3


まんべんなくボディ全体に塗布したら、塗布用クロスの乾いた部分で軽く乾拭きします。

手順その4


10分から15分ほど放置し乾かします。

後片付け

塗布に使用したクロスはそのまま放置すると自然発火の恐れがあります。十分に水を染み込ませた状態でビニール袋に入れ密封し、お住まいの地域の処分方法に基づき破棄してください。(一般的には燃えるゴミとして破棄頂いて結構です)

まとめ

オイルフィニッシュならではの質感を維持するためには、オイルワックスによるメンテナンスが不可欠です。定期的に塗って美しい外観をいつまでも保ちましょう。

今日使ったメンテナンスアイテム

ギター職人のオイルワックス

Bacchus Super Fine Cloth


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