想いが込められたデザイン

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雪の結晶

Headway Standard series HD-Fuyuzakuraは「冬桜」というテーマでギターをデザインしました。桜の木をボディのサイド・バックに使用し、真っ黒なエボニーをブリッジや指板に使用することで、これまでの桜モデルに比べて少し落ち着いた雰囲気があります。

そしてその黒い背景に白蝶貝で描かれるのは雪の結晶と桜の花びらをモチーフとするインレイ。美しいです。。ところで、、

雪の結晶て何種類あるんだろう。

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自然のものですから、厳密には同じものが一つとしてないと思いますが、昔見た図鑑ではいくつかのパターンがあったはず。
そもそも伝統的なアコースティックギターに入ってるポジションマークのアレ、雪がモチーフだよなぁ、本当にあるのかな、あの形。

 

手がかりその一

六角形っぽい形状

雪の結晶というとだいたいどれも六角形に見えます。そもそも結晶ってなんだ。

 

雪の結晶が出来る仕組みとは

以下引用—–
水蒸気を含む空気が上空で冷却され過飽和(空気へ水が溶ける濃度を超えた状態,温度低下で起こる)になると,ごく細かいちりなどをしんにしながら水分子は気体から凝結して固化することで氷のつぶが生まれます。
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出典:島津製作所
http://www.an.shimadzu.co.jp/support/science/020112/020112a.htm

学研のサイトも勉強になります。

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氷の分子とよばれる小さなつぶは六角形をしています。したがって、空気中で水がこおると、一番最初は六角形になるのです。
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出典:どうして雪の結晶は6角形になるの?-学研サイエンスキッズ
https://kids.gakken.co.jp/kagaku/110ban/text/1447.html

「分子が六角形だから」と言われるとそれ以上言い返せませんね。。

では今日の本題、結晶の種類の数ですが、

出典:Snow Crystals.com
http://www.snowcrystals.com/guide/guide.html

こちらのサイトでは代表的なものを35種類に分類して名付けています。
というか、リンクサイトの冒頭で「結晶は六角形とは限らない」て言ってるなぁ。。どういうことだろう。。

早速HD-Fuyuzakuraでデザインされた結晶がどこに当てはまりそうか見てみようと思います。

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ピックガードや指板面に大きくデザインされたクリスタル

これはStellar Dendritesでしょう。しかし、よくよく見てみるとFernlike Stellar Dendritesにも見えます。これらは六角形ですが、インレイは五角形です。言うなれば「Fernlike Stellar Dendrites傾向の派生Stellar Dendrites」といったところでしょうか。
結晶が沢山の枝を伸ばしそれぞれの枝が放射状に広がる形状です。インレイは細かな表現に限界があるため枝の数こそ少ないものの、特徴を捉えたデザインです。

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ヘッドトップや指板上ポジションマークとして入る小さめのこれはどうでしょうか。

これは「Rimed Snowflakes and Graupel」でしょう。雪の結晶がさらに水滴などと混じり合い、さらに凍ったりした時に生まれる、あまり体系的に捉えられない形状です。いわゆる「スノーフレーク」と呼ばれるポジションマークも、分類的にはまさにこの「Rimed Snowflakes and Graupel」であり、当時のデザイナーもここから着想を得たことが分かります。

以上のことから自然に生まれる雪の結晶の中から厳選した2種を選びデザインされた事がわかりました。

雪の結晶といえばプリズム的に輝きますが、その表現に白蝶貝を使用し、「光の屈折をつくり、七色に輝く」という原理的には同じ理屈で光ります。

漆黒のエボニー指板上で七色に輝くインレイは、個性を放ちながらも落ち着きがあり、いつまでも弾き続けられるような上品なデザインです。

まとめ

最後に雪の研究についての第一人者、北海道大学の故中谷宇吉郎博士の言葉をご紹介します。

——–
「雪は天から送られた手紙」

夜になって風がなく気温が零下十五度位になった時に静かに降り出す雪は特に美しかった。 

真暗なヴェランダに出て懐中電燈を空に向けて見ると、底なしの暗い空の奥から、数知れぬ白い粉が後から後からと無限に続いて落ちて来る。

それが大体きまった大きさの螺旋形を描きながら舞って来るのである。 

そして大部分のものはキラキラと電燈の光に輝いて、結晶面の完全な発達を知らせてくれる。(中略)

何時までも舞い落ちて来る雪を仰いでいると、いつの間にか自分の身体が静かに空へ浮き上がって行くような錯覚が起きてくる。
———
出典:中谷宇吉郎 雪の科学館
http://kagashi-ss.co.jp/yuki-mus/yuki_home/

ご本人の研究から感じられた事を綴られたこの散文詩だと思うのですが、結果的に私たちの雪に対するノスタルジックなイメージを鮮やかに浮かび上がらせています。

この様に趣深いテーマを取り入れたHD-Fuyuzakura、HF-Fuyuzakura、HJ-Fuyuzakuraのどれかを弾きながら、「底なしの暗い空から舞い落ちる雪の結晶」に思いを馳せて頂ければと思います。


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