ピックアップとは、エレキギター/ベースに搭載され、弦の振動を電気信号に変換しアンプなどへ送るものです。
ピックアップの構造は、ポールピースという磁力を帯びた棒にコイル(導線)が巻かれており、
このポールピースから発生している磁界を弦振動により変化させることでコイルに電流を発生させ、
それをアンプで増幅し音を出しています。
つまり、弦振動とは磁界を変化させ電磁誘導を起こす要因のひとつに過ぎず、
極端に言ってしまえば、生の弦振動の音とアンプから出る音は別物ということになります。
それだけピックアップの、音に対する影響が大きいという事ですね。
そんなピックアップにはいくつもの種類があり、その代表的なものがシングルタイプとハムバッカータイプです。
●シングルコイル・ピックアップ
シングルタイプとはその名の通り、電流を発生させる装置が一組のみのピックアップです。
(位置が分かれていくつも搭載されているものでもシングルタイプです)
明るくジャキジャキとした透明感のあるサウンドが特長ですが、ノイズが多いのが欠点でした。
●ハムバッカー
ハムバッキングとも呼ばれ、ハム(ノイズ) をバッキング(除去)する という意味があり、
シングルタイプの欠点であったノイズの多さを解消する為に開発されました。
シングルタイプを2つ直列に接続した形ですが内部は少し異なっており、
ふたつのピックアップはお互いが逆磁・逆巻きになっています。
コイルを逆巻きにすることによって電気信号の位相が反転します。しかしノイズはどちらにも平等にのります。
このまま2つを直列に繋ぐと、位相の反転した音がお互いをかき消し合い、ノイズだけが倍になってしまいます。
しかし磁極を反転させることにより、反転した位相をノイズごと再び反転させることができ、
反転したノイズだけがかき消し合い、欲しいギターの信号は倍になります。
(実際の音量も、倍とまではいきませんが大きくなります)
順巻き:ギターの音(+)&ノイズ(+) + 逆巻き:ギターの音(-)&ノイズ(+) = ノイズx2
↓片方の磁極を反転
順巻き:ギターの音(+)&ノイズ(+) + 逆磁逆巻き:ギターの音(+)&ノイズ(-) = ギターの音x2
これによりシングルタイプに比べノイズが少なくなり、音も大きくなっています。
音色は丸く角の取れた甘いメローな太いサウンドで、
歪みに強く、エフェクターなどで激しく歪ませても音がつぶれにくいのが特徴です。
また、更なるノイズ対策として金属のカバーをかぶせたものもあります。
その他ピックアップ
その他にも数多くのピックアップが存在し、シングルタイプの構造でコイルの巻き数や太さを変え、
音色をハムバッカーに近づけたものや、シングルタイプのサイズの中で逆磁逆巻きの物を二段に重ね、
ハムバッカーの構造になっている物もあります。
低出力低ノイズのピックアップを、電池を使うプリアンプを入れ高出力高音質低ノイズに変換する
アクティブピックアップなど、他にも様々に工夫されたものがあります。
まとめ
シングルタイプとハムバッカータイプの大きな違いはノイズの量と見た目の大きさですが、
音色に関しては、磁力やコイルの素材,太さ,巻き数によって大きく左右されるので、同じタイプでも音色は様々です。
ピックアップはエレキの肝となるだけあって、多様で奥深いものなのです。
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